田中芳樹『ラインの虜囚』

講談社ミステリーランドシリーズの第七回配本分としての発売。そろそろ入荷した頃なのでお店の書籍スタッフに訊いたら「確かに入ってたけど児童書に出してあったよ」という。?と思って児童書コーナーに行ってみたら、確かに置いてあった。何で児童書やねんと思ったが、「あのね、漢字に全部ルビが振ってあるのね。だから文芸書のところに置くのもどうかなと思って」。中を見ると、なるほどルビだらけでフォントもやけに大きい。…一瞬躊躇したが、一応新作だし仕方ないから読んでやろう。
内容は、物語冒頭に期待させるほど大きくは拡がらない割とこじんまりした話。まあ田中節は感じられるが、最初からあまり期待しなければこんなもんかなという程度で(^^;。文体はかなり平易だしルビありというのは小学生が対象か? でも作品の性格19世紀ヨーロッパ史を少しは知ってないと時代背景が判らないだろう。その辺って小学校で習うんだっけ?
この内容で¥2,100は正直高いと思う。文庫にしたらペラッペラになるんじゃないか? ただこの本、装丁がすっごく丁寧/美麗な作りで思わず見入ってしまうくらい。クレジットを見たところ装丁担当があの祖父江慎氏。あの『伝染るんです。』の単行本を作った人である。鶴田謙二のイラストを含めそれも込みでの値段と考えれば、まあ納得。