「テルーの唄」が売れている

手嶌葵、デビュー作が大健闘の5位初登場!」というニュース。ジブリ作品からの曲としては『千と千尋』主題歌の「木村弓/いつも何度でも」が記録した6位を超えて歴代最高位とのこと。データを見ると「いつも何度でも」や「もののけ姫」は累計売上50万枚超え(!)。それに比べて「テルーの唄」の初動売上は2.4万枚、単純に歴代最高位を記録したからと言って先の2曲は基より他の主題歌と比較しても「売れてる」とは言えないのだが、まあCDの売れ方も今は違う訳だし、一応記録としては立派なもんだ。今週のオリコンシングルチャートを見ても、1位のB'z、2位の関ジャニ、3位の山P、4位の福山と全て2種類以上の仕様違いありという姑息なリリースをしてる中でも健闘してる方か。
作品の性格上、純粋に楽曲自体の良さが高評価に繋がっていると思われるし、1曲のみ収録ではあるものの500円という単価で低年齢層でも手が出しやすかったということもあるだろうが、売れているのにはまだ理由がある。詳細は省くが、今回、一定数以上のイニシャル数を入れると、仮に売れ残ったとしてもその分を返品できるという拡販施策が用意され、これを導入した店舗が多かったことが売上増に繋がったのではないかと思われる。このような拡販施策はメーカーやその作品によって事情は様々あるのだが(あまり詳しくは言えない)、新人アーティストに適応されることが結構多い。返品条件付きでイニシャル数を増やしてもらうことで初めから大々的に展開してもらう狙いはもちろん、売上見込みが読めない新人アーティスト作品に対する小売店側の発注渋りを回避し売上機会損失を防ぐ効果が大きい。小売店側としては返品条件さえあれば文句ない訳だし。で、今回イニシャル数多めで望んだことで、品切れを起こさずお客さんの需要にしっかり応えることができた小売店が多かったのではないか、と思われるのだな。小売店が発注を渋らずとも、イニシャルを早々と売り切って追加をかけようと思ったら全国からバック注文が殺到してロクに入荷してこなくなる→かなりの売上機会損失を出す、というケースはよくあることだったりするので、不良在庫を抱えるリスク無しにイニシャル数を多くでき、且つ売上増に繋げられたという点で今回の施策が成功した店舗は多いのではないだろうか。実際、うちの店では拡販施策導入でイニシャル数を当初の3倍に増やしたが、しっかり売り切って追加もかけるという好調ぶり。7/12の『ゲド戦記歌集』ではうちの店には拡販施策の案内が来なかったが(同じヤマハなのに。何故かは知らん)、同日発売のサントラでは導入するので、こちらも好調だと嬉しい。