『高円寺百景/ANGHERR SHISSPA』

諸事情あって遅れましたがやっと購入。1st、2nd、3rd、そしてこの4thと全部メンバーが違っててそれが音楽性の違いにも出ていたが、今作は以前よりスッキリというかシャープというか、軽快な感じを受けるのはギターレスになったからか。それに今までの高円寺百景というと独特の男臭さがあって、それ故に安紀さん(3rdではナミィさん)のソプラノも映えるというもんだったのに対し、今回では山本さんを核にした女性3名のコーラスがメインになるのでむしろ男声が脇役に回ってるのも原因の一つかも。小森さんのソプラノ・サックスと山本さんがユニゾンでツイン・ヴォーカルみたいになる場面が多いのが面白い。3rdに小口さん(KENSO)が参加したことで一気にkeyパートが華やかになった音楽性もkeyが本職の美也子さん(る*しろう)の参加により引き継がれたが、王道シンフォプログレ的な小口さんのプレイスタイルとはちょっと違って、クラシカルなピアノをメインにして要所要所はシンセで盛り上がるというこのアプローチにはちょっと三柴理(江戸蔵)なニュアンスを感じたり。坂元さんのゴリゴリしたベースはまるでヤニック・トップだったりするのに吉田さんの甲高いスネアを聴くと決してMAGMAではない(笑)のがこのバンドの大きな特徴。坂元さんといえば、今回作曲してるM-2とM-6が凄まじくカッコ良くて驚いた。特にM-6はエセ民族音楽ジャズロック×「サウンド・チェイサー」みたいな(?)高円寺百景のイメージとは違う曲だが、こういう曲をもっと演ってくれたらこのバンドの音楽性も幅が広がるし、あるいは坂元さんのメインバンドとかでもっと追及して欲しいところ。美也子さん作曲のM-3もブチ切れたサックスと疾走感がたまらん。
コーラスワークの充実に華麗なkeyパート、そしてサックス(クラリネット)の導入と、ギターレスになったことでの音数不足は全く無し。ガラリとメンバーチェンジしたことでの新要素が全てプラスになっている。個人的には今年のベスト1最有力候補。このバンドの場合ちょっと見込みは薄いのかもしれないが、できればこのメンバーでまたアルバムを作って欲しい。