『パトリック・モラーツ&ビル・ブラッフォード/ミュージック・フォー・ピアノ・アンド・ドラムス』('83)『フラッグス』('85)

ブラッフォードのレーベルより再発されたリマスター盤。ガチンコインプロのイメージがあったが、そういう曲は少なくモラーツ主導の作曲がメイン。双方とも手数が多い芸風だけに2人だけといってもそんなに音が薄い印象はない。特に『フラッグス』はモラーツによるシンベもフィーチャーされてるのでほとんどキーボードトリオ状態。モラーツのクイーンクイーンとベンドを効かせたシンセソロはさすがだし、ブラッフォードの固い音色とフレージングも相変わらず。やっぱこのドラムいいなぁ。
ピアノとドラム、アコースティックオンリーで緊張感の強い1stとシンセやエレドラも導入し多彩な音色に満ちた2nd。どちらにもそれなりの魅力があるが、あえて言うと1stの方が評価が高くなりがちなのは、2ndで聴かれる音色がどうしてもいかにも80's的で時代を感じさせてしまうためだろう。ライヴを見越してモラーツがシンセを導入したのは分かるが、ブラッフォードまでエレドラ使わなくても良かったのにと思う。それならもうちょっと2ndも緊迫した作風になったのでは。この時期のブラッフォードのエレドラは音色として(当時としては)目新しかったというだけでそんなに面白くない。これが'87年のアースワークスの1stや『デヴィッド・トーン/クラウド・アバウト・マーキュリー』あたりになるとシンセを弾いてるのかシモンズでコードを鳴らしてるのか分からんくらいにエレドラを極め、正にエレドラ無しではあり得ない唯一無二の音楽性を生み出すに至るわけですな。