最近買ったCD

忙しい間にもいろいろ買ってはいるがちゃんと聴く暇もなかったり。ザッとだけ書いておきます。

  • ザ・ワールド・ヘリテッジ/北回帰線北回帰線

「現在の日本の即興シーンのドリーム・チーム」という謳い文句の、ナスノミツル(b)、勝井祐二(vln)、鬼怒無月(g)、山本精一(g)を従えた吉田達也(ds)のニュープロジェクト。と言っても実際は'04年3月の山本/勝井/ナスノ/吉田セッションと、同年6月の是巨人2ndレコ発時に行われた鬼怒/勝井/ナスノ/吉田セッションの2つのライヴ音源を4曲ずつまとめたもの。吉田さんがスタジオでいじっているということで、観客の拍手などは一切入っておらず曲間も繋いであったりするが、演奏自体に編集が加えられてるかは不明(多分されてないと思うが)。是巨人ROVO、ボンフルなどなど各人がやっているバンドの側面がチラホラ垣間見えて面白い。

ソロアルバムとしては4th。名義はソロながら実質は前作で確立したトニー・レヴィン・バンドとしての演奏がメイン。バンドメンバーはジェリー・マロッタ(ds、back vo)、ジェシー・グレス(g)、ラリー・ファスト(syn)、ピート・レヴィン(key)。レヴィンとマロッタ、あるいはレヴィンソロなどメンバー全員が参加してない曲もあり。ゲストギタリストとしてエイドリアン・ブリュースティーヴ・ルカサーが1曲ずつ参加。これまでと大きく違ってヴォーカル・アルバムになってるのが特徴で、ちょっと心配はあったもののトニーさんは見事なコーラスワークも含めてしっかり歌っております。前作にも感じられた多少の野暮ったさが親しみやすくて良い感じなのはファンならではの贔屓目かも(笑)。2nd収録曲をヴォーカル入りでリメイクした「UTOPIA」がハイライトか。

  • Adrian Belew/side threeSide Three

sideシリーズの3つめ(この後ライヴアルバムのfourもあるらしい?)。『side one』に続いてレス・クレイプール(b、ex.プライマス)とダニー・カーリー(ds、ex.TOOL)が参加と聴いていたんで全曲この3人でバリバリ演ってくれてるかと期待してたが、この2人は『side one』同様2曲参加止まり。しかも今回のはそれほどでもないなぁ。それよりブリュー1人で演ってる曲の方がカッコいいかも。一応今回の目玉はロバート・フリップ(g)とメル・コリンズ(sax、flute)のゲスト参加。この2人目当てオンリーで買っても良いという程気合の入ったもんではないかもしれないが割と好演奏。特にM-3は"flute guitar"とクレジットされているフリップのヘロヘロとしたギター・シンセがソロを取っているブリュー風エレクトロニカで面白い。

今は亡きCMP RECORDSからのリリースだったため現在は入手困難だったりする、デヴィッド・トーンのソロアルバム(amazon.comマーケット・プライスで割とリーズナブルに購入)。前作『Tripping Over God』では完全に1人で演っていたが、今回もFima Ephronなるベーシストが3曲参加してるだけでほぼ1人だけで音を作り上げている。ただ、ドラムサンプル音源として使用したドラマーのクレジットが6人分載っており(中にはスティーヴ・ジャンセンや屋敷豪太という名前も)、この辺りにもトーンのリズムに対する拘りが感じられる。凶悪ディストーションからギターでどうやって出してるの?というヘンテコ音まで変幻自在のギターサウンドは相変わらず、そこにテクノ的快感のあるリズムトラックが絡み、トーンの最高傑作との評価があるのも頷ける。

  • Mono Fontana/CIRUELO

アルゼンチン音響派と言われるアーティストの作品の中でも特に名作とされるモノ・フォンタナの1stソロ(2ndってまだ出てないですよね?)。これが予想以上に素晴らしくって驚いた。シンセ、チェロ、パーカスのトリオ編成で、あまりに美しく繊細で気持ち良いサウンド。かと思えばパーカスが疾走してジャズ・ロック的な快感もあったり。かなり多彩な音色が使われてるとは言えいかにもなシンセリードも出てくるのに、豊かな緑と動物に満ち溢れた大自然が目の前に広がるような何とあたたかい音楽であることか。ふんだんに取り入れられた様々なSEも利いている。必聴。

  • Collectif Polysons/Folklore Moderne

Pierre Charialのバレル・オルガンを知ったのは元々'02年リリースのこの作品でなのだが、あんまり売ってるところが少ないこともあって入手が遅れてしまった(今回ワールドディスクから購入)。Collectif Polysonsというユニットはtp、sax等×2、dsという4人バンドであり、このアルバムではバレル・オルガンのPierre Charialとハーディ・ガーディのValentin Clastrierをゲストに迎えている。ジャケ写やクレジットを見る限り、この2人がメインであるかのようになっているが、元々稀代の奇楽器であるバレル・オルガンとハーディ・ガーディをフィーチャーするのがこのアルバムのコンセプトであったらしい。作曲はバンドメンバー各人がそれぞれやっている。バイオリンやチェロ、あるいはアコーディオンのようにも聴こえるハーディ・ガーディも十分面白いが、やっぱここでの主役はバレル・オルガンで、ほのぼのとしたオルガンの音色がおよそ人間業では演奏不可能なフレーズで繰り出される様子は正に圧巻。特にM-3、バレル・オルガンのシュポシュポ言う高速フレーズの上をハーディ・ガーディがギーギーとヒステリックな音色でソロを取り、様々なパーカッションがフリーに打ち鳴らされる・・・可愛いらしさとカッコ良さと狂気が混在する、この編成ならではのあまりに異様な音世界、スゴ過ぎ。