『PFM/DRACULA OPERA ROCK』

Serendipity』('02、未聴)以来のアルバムリリースは来年ローマで開幕されるロック・オペラ/ミュージカルのサントラ。フルオケ/合唱団入りの企画物のためファンの間でも賛否両論分かれているようだが、実際聴いてみたらこれが大アタリ! コンセプトに基づく濃ゆい音楽性が結果として見事にプログレど真ん中。抑揚が激しく重厚。打ち込みも適宜導入して音としては古臭くはないのに、この暑苦しさはイタリアン・プログレならではというべきか。Minimoogのエグい音色も唸っております。フルオケも随時導入してそれを盛り上げているが、あくまでもメインはバンドサウンド。そして思いっきり感情を込めたクサクサの泣きのメロディを奏でるこの演奏の何と若々しいことか。下手すると還暦も近いおっさん達のはずだが。'02年のDVDの画を思い出しながら聴くとまた感慨深い。劇がかったvoはフランツ・ディ・チョッチョ(ds)とフラヴィオ・プレモリ(key)の2人がメイン。ちょっとやり過ぎというくらい演技入ったチョッチョのしゃがれ声と甲高いプレモリの声質の違いが面白い。2人ともめっちゃ熱唱しとります。個人的にはフランコ・ムッシーダ(g)の声が一番「ええ声」と思ってるんで、今回voの出番が少なくてちょっと残念。その代わりギターはアコースティック/エレクトリック共にたっぷり堪能できる。アルバム全編聴きどころ満載だが、特にラストを飾る11分の大曲M-11は女性voをフィーチャーしてのヴォーカルパート(ここのメロディ最高)に続いて泣きまくったギターとMinimoogのソロ掛け合いがたまらん。とにかく、これだけのベテランが今これだけの音を届けてくれることに感動。正直言って聴く前は「今更PFMか」という気持ちがない訳ではなかったが、今後も十分追っかける価値がある元気なおっさん達です。