ホッピー神山ソロ続報

ここのところホッピーさんと何度もメールをやり取りさせて頂いています。一ファンとして何ともありがたいことです。
国内アングラシーン(?)周辺ではおなじみのライターさん、松山晋也氏によるレビューも頂いたので、加えて掲載させて頂きます。

ひとことで言えば、ホッピー・ミュージックの集大成か。吉田達也鬼怒無月高良久美子などを中心とするホーン入りのコンボに15人編成の弦楽オーケストラまで加えてのフル・スコア・ワーク。
圧倒的な音圧とスケール感。そのハイ・テンションぶりには、誰もがド肝を抜かれるはずだ。フレージングにもリズム・コンストラクションにも、至るところでザッパ的屈折とスピード感が溢れ、時に強迫的にミニマル旋回する感じはマグマを思い起こさせるし、また誇大妄想的に天空を目指すアンサンブルの上昇力はP・ファンク軍団にも通ずる。爆風銃からPINK、RAEL、オプティカル8、パグス…そして最近の大文字まで、四半世紀にわたってホッピーが蓄積し磨いてきた音楽語法とセンスが、ここにはすべて投入された感がある。なんでも、CDに同梱されるDVDには、この録音風景とアメリカ人アニメイターによるアニメが収録されるらしいから、ホッピー版『200 Motels』といってもいいのかもしれない。
いずれにしても、これだけ高度なスコアリング技術と演奏能力の結集は、ホッピー神山なればこそ可能だったのだと思う。クラシックから音楽の道に入り、プログレやファンクとの出会いを通して自分の世界を見つけ、サイケにエスノに歌謡曲に劇伴にと、あらゆる種類の音楽をこなしてきたホッピーは、こと音楽に関することだったら、できないことはない。作曲家、アレンジャー、キーボード奏者、インプロヴァイザー、プロデューサー、そしてインディ・レーベル主宰者としてのヴァーサタイルな才能(人脈の多彩さも含めて)は、少なくとも日本では他に類を見ないものである。そして、何よりも重要なのが、全方位にバランスがとれていながら、デーモニッシュな閃きや爆発力、ポップな軽やかさを絶対におろそかにしない点だ。
知性と野性が常に一心同体になった“音楽王”。その人生が凝縮された総力戦としてのシンフォニーである。
松山晋也

私がホッピーさんのことを知ったのは、'89年か'90年のキーボードマガジン誌、愛用しているシンセの紹介という特集の中でプロフェット5のことを書かれていたのを見たのが最初だった。そこから一旦PINKに遡った後、ソロや数々のバンド/プロジェクトを追いかけ続けて来たが、遂に「本当に聴きたかったホッピー神山」が聴けるかもしれない。本当に楽しみである。